For the love of the game [tennis]
“For the love of the game“
シンプルな言葉とともに添えられた5枚の写真。ライトの灯に照らされたガランとしたスタジアムと、人工的な光の中のロジャー。これらは試合後、ロジャーのインスタグラムとフェイスブックの投稿された。
膝手術から復帰したロジャーの今シーズン2大会目、クレーコートのローランギャロス。
クレーは得意とは言えないものの、直後に始まる得意の芝コートでの大会を目標にしているため、自分の調子を見るためにも参加した今大会。
フランスは夜9時に外出制限があるため、ナイトマッチは無観客、というのはわかっていたものの、何故その時間に試合を組むのか、何故そこに、もうこれが最後のローランギャロスとなるかもしれない選手の試合を入れるのか理解に苦しむ中、ロジャーはその舞台に立った。
誰よりもファンを愛するロジャーの試合に、観客の姿はない。
空っぽのスタジアムに打球音だけが響く。
39歳には思えないプレー、だが気温は下がり、コートは遅い。
試合は拮抗し、夜12時を過ぎた。
3時間35分。戦い抜いた。
試合後のインタビューで、TV画面を通して見ているだろうファンを思いながらプレーした、と答えたロジャー。この人は本当に…なんて人なんだろう。書いてて泣けてくる。
アンディー・マレーも呟く。試合結果なんてどうでもいい。2度の膝手術を乗り越えた39歳のロジャーが、午前12時半に空っぽのスタジアムでプレーしているのを見ているだけで元気づけられる。Do what you (自分の愛することをしよう)
彼自身も股関節の手術から復帰し、その後苦しんでいるだけに、このロジャーの2度目の本格的復帰戦とも言えるこの大会は、興味深く見ていたに違いない。
リシャール・ガスケも度々テニスへの愛を口にする選手だ。最近のインタビューでは、自分にとってテニスと言えば、ロジャー・フェデラーだ。と明言している。9歳の頃に自国のテニスマガジン表紙を飾った彼も、もうすぐ35歳。
ロジャーやアンディーやリシャールのように、歓喜の勝利や、打ちのめされるような敗北を、繰り返し何度も味わい、怪我を乗り越えてプレーをし続ける選手達にとって、何故そこまでしてプレーを続けるのか、コートに立つのか、はもう数百回も問われ続けている。
for the love of the game
答えはシンプルで明確。テニスを愛しているから。これ以上もこれ以下もない。
ただ愛するテニスのために。
テニスがあるから…今日も彼らはコートに立ち続け、ボールを追い続ける。
私達はその姿をしっかりと目に焼き付けなければならない。
彼らがプレーする限り。彼らのテニスへの愛を受け止めなければならない。
たとえそれがどんな結果であっても。
彼らを応援すること、それが私達ファンにとってのfor the love of the game なのだから。
2021-06-06 13:12
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コメント(2)
心に沁みるブログ読ませていただきました
今朝のロジャ様の試合はまだ見られてませんがアンディの言葉からもファンだけでなく選手仲間にとっても彼自身がまさにTHE TENNISなのだなと改めて思いました
怪我など様々な事を抱えながらもなおテニスを愛し続け それらを乗り越える彼らのプレーはそれ自体が尊くて…結果だけではないですよね
これからもプレーを観られることに感謝だし それぞれの選手の歴史を見届けたいです
by べに (2021-06-06 18:19)
べに様、コメントありがとうございます。
時計の針が進んで行くのがこれほどもどかしく思うことはありません。時間を止めることはできませんが、だからこそ愛おしい、その時間を大切に、彼らを観れる幸せを噛み締めながら、生きて行きたいですね。
by ピョル (2021-06-06 19:06)